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上腕骨骨折後、外来リハから訪問リハに移行して家事活動を獲得した事例

更新日:2020年12月23日


80代女性。一軒家で夫との二人暮らし。自宅内は敷居などの段差が多い環境。近隣に息子夫婦、娘夫婦が住んでおり生活の支援をしていた。

以前から両下肢の運動失調があり頻回に転倒していた。玄関で転倒した際に右上腕骨の骨折が認められた。観血的整復固定術施行。週一回の外来リハ開始されたが、夫介助での通院が困難。息子、娘夫婦の通院介助にも限界があった。自宅でさらに転倒が続いている状態であった。

骨折から4ヶ月後に訪問リハへ移行。週一回の外来リハから週2回の訪問リハとなった。入浴目的のデイサービスを週2回利用。両下肢に運動失調が認められてフリーハンド歩行では頻回に転倒してしまう状態。転倒の度に同居の夫が床からの立ち上がりを介助していた。骨折した右上肢は肘屈曲位で拘縮。関節可動域制限に動作時痛が認められた。「料理や洗濯とか家の事を出来る様になりたい」と希望が聞かれていた。同居している夫が家事を代わりにこなしていたが不十分さがあり、本人がやりたいと強い意向が聞かれた。

近隣の家族が大工で住宅環境の調整が素早く行えること。本人のリハビリテーションに対する真向きな姿勢がある事が強みである。

転倒の頻度を減らすこと、調理・洗濯などの家事活動を再開できることを目標として定めた。

自宅内は段差が多く、歩行器などが使用できない環境であった。大工の家族の支援を受けて生活での導線はすべて伝い歩きできるようにレンタルでの手すり設置と住宅改修での手すり設置を組み合わせて伝い歩きができる環境を構築した。家具の配置を再考しコンパクトな生活導線を実現。デイサービスでの歩行練習を伝い歩き歩行への切り替えを依頼。

リハの頻度を増やし、骨折した上肢への機能訓練を増やした。右上肢への負担を減らす方法で洗濯干しの練習を実施。荷物運搬での転倒危険性が高いため運搬方法の工夫をした。

自主トレメニューを作成。実施のチェックシートを用意してトレーニングの定着を促した。

万が一の転倒の際に、一人で床から立ち上がれるように床からの立ち上がり練習実施。

上肢の関節可動域は大幅に改善。やや筋力低下は残ったが日常生活上で困ることが無い程度にまで改善。調理や洗濯干しなど実施できるようになった。伝い歩き環境を設定したことにより転倒頻度が減少。時々転倒があったが一人で床から立ち上がれる状態になった。


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